なぜ人はキーボードを作るのか…
皆さまざまな想いがあってキーボードを自作しているのだろうけど、 既製品を選ぶ時は入手可能性について考えることが多かったように思う。 人間工学に基づいたエルゴノミクスキーボードにうっすら興味はあったけど、 10年後にこれと同じものが手に入るだろうか、 という不安が過り、慣れ親しんだキーレイアウトを変えるという決断が出来なかった。
しかし自らの手でキーボードを作れるようになった今、 既製品のキーレイアウトに囚われる理由が無くなった。 壊れたらまた同じものを作れるし、 不合理なキーレイアウトを少しずつ変えていくことも出来る。
作ろう。自分の手に馴染むキーボードを、
目指そう。完全無欠のエンドゲームを、
コンセプト
- 60%くらいのキー数の分割キーボード
- Column Staggeredを採用、Row Staggeredは悪い文明
- 数字キーあり
- 数字キーおよびShift+数字キーの記号は単一キーであってほしい
- 小指に優しい
- emacsで
Ctrl
多用すると小指がつらい - HHKBで
Fn
を多用すると小指がつらい
- emacsで
- 豊富なModifierキー
- 普段タイル型Window Managerを使っており、あらゆるウィンドウ操作をキーボードで行っているためModキーは多ければ多いほどよい
- 変換(IME ONにマップ)、無変換(IME OFFにマップ)の単発キーが欲しい
- IMEのON/OFFをトグルにすると余計な認知コストがかかる
- HHKBで変換・無変換とSuperキーを両方使用出来なかった不満を解消
キーレイアウト & キーマップ
こうなった
特徴は
- TRONキーボード風に
Enter
,Backspace
,Esc
,Tab
を人差し指に持ってきた- コンソールで
Enter
とBS
はCtrl + J
,Ctrl + H
を使っているのであまり違和感は無い、Esc
とTab
は馴染めるかどうか心配
- コンソールで
Control
,Shift
を親指に持ってくる- 思い切った変更だけど小指がとても楽になった
- emacsで小指に負担がかかる問題が解消
Control
が親指のホームポジションなのでこれがまた快適
Raise + (h|j|k|l)
でカーソルキーになる- Webブラウザでスクロールする際にこれまでFn(小指)を使っていたのがとても楽になった
Lower + (h|j|k|l)
でマウス操作できるF1
〜F20
まである- ファンクションキーってそんなにあったんだ、という印象
Hyper
キーがある- 現代では失われてしまった歴史的補助キーを復活。Window Managerやemacsのキーバインドで使う予定。
いくつかの親指キーはQMKのMod+Tap機能を利用した。
Ctrl and Space
キーは長押しするとCtrl
、タップでSpace
となる。
類似のキーボードとしてはRedoxやKeyboardio Model01と似たような感じになった。 これらのキーボードは良いなとは思ったけど、細かい所が気になって結局買わなかった。
つくる
いきなりPCBを設計すると失敗する予感がしたのでまずはSU120を使って基板を試作することにした。
SU120を組み立てて、空中配線
プレートの切り出し
ニスを塗る(5回)
完成
「武蔵60」と命名
念の為予備のキーを端に用意しておいたけど基本的に使わない。
当初親指キーを片側1Ux5個で作ってみたが、親指キーのサイズは1.25Uの方が良さそうだなということで片側4キーに変更した。 しかしやっぱり4個では足りなかった。冗長だけどCtrlやShiftは左右にあったほうが良い。
TODO
- 試験運用
- PCBを設計
- ケースをつくる